亡き妻、麻央さんに重ねた 「はなちゃんのみそ汁」作者

安武はなさんが昨年10月に小林麻央さんに宛てて書いた手紙

 「麻央さんはブログを通じ、病で苦しんでいる人たちを笑顔にしたかったのだと思う」。2008年に乳がんで妻の千恵さん(当時33)を亡くした福岡市の安武信吾さん(53)は23日、長女のはなさん(14)と取材に応じ、語った。「はなちゃんのみそ汁」(文芸春秋)をつづったことで知られる家族だ。

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 千恵さんもブログを書いていた。「最初はがんであることを人に言わなかったが、ブログを書き始めたらふっきれ、明るくなった」と振り返る信吾さん。「気持ちをはき出し、受け止めてもらって。『分かち合い』ができたのが大きかった。麻央さんもそうだったのでは」とみる。

 麻央さんが最後につづった言葉は「皆様にも、今日 笑顔になれることがありますように」だった。

 信吾さんは「つらくて、こわいはずなのに、他者を思いやる心は多くの人たちに伝わったに違いない。すごい人だ」と話した。

 夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(39)と2人の子どもにも思いを寄せた。

 千恵さんが亡くなったあと、信吾さんは茫然自失(ぼうぜんじしつ)の毎日を過ごした。酒と精神安定剤に頼って1日をやり過ごし、未来が全く描けなくなった。そんな自分を取り戻すきっかけとなったのは、はなさんが作るみそ汁だった。

 千恵さんが「1人でも生きていけるように」と、はなさんに教えたみそ汁だった。そして、信吾さんの話にじっと耳を傾けてくれた周囲の存在も大きかった。「海老蔵さんも信頼できる人に甘えてほしい。舞台もあって大変だとは思うが、無理せず、心地よい場所に身を置いてほしい」。信吾さんはそう言う。

 千恵さんが亡くなった当時、5歳だったはなさんは昨年10月、麻央さんに宛てた手紙をしたためていた。麻央さんの闘病を伝える新聞記事を読んだその日、一気に「食べ物の力はすごいです。麻央さんも、しっかり、ご飯を食べてくださいね。(中略)病気が治ることを祈っています」などと書いた。麻央さんのもとには届かなかったが、手元に大事にしまっている。

 はなさんは「(麻央さんの子どもたちに)かわいそうにって言わないで」と願う。母がいなくて寂しく思った時は、もちろんある。「でも、パパがいるし、ママは体はないけど、いる。かわいそうって言われるのがすごく嫌だったし、今も嫌です」


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