『産後クライシス&より良いパートナーシップを築く』

前回のコラムで「自分から変わる努力」というキーワードをお届けしたところ・・・

「夫は分かってくれない!と、ずっと夫のせいにばかりしてきました。自分が変わるということを考えてみたら、少し関係性が変わってきた気がします」

とのお言葉をいただいたり、コラムを読んで、ご自分と向き合う時間を作っていただけたことを嬉しく感じました。

もちろん、男性に『産後女性のこころとからだ』についての理解を深めてもらえるよう、社会でも今後いろいろな取り組みがされていくことが望まれますし、産後ケアに関しても、日本では相当足りていない部分があるということを日々実感しています。望まれる改善点をあげたら、きりがないくらいです。

そんな社会情勢のなかでも、子育ては日々目の前にあります。待ってくれることなく、日々は流れていきます。まずは、目の前にあることの中で、出来ることから変えていくしかないのです。

パートナーとの関係でも、親子の関係でも共通する、自分に出来ること。これはやはり、

「自分のこころとからだを整えるということ」

なのではないでしょうか。

「自分が穏やかな気持ちの時は、相手にもやさしい気持ちがかけられるんですよね」

たくさんの方から、この言葉を聞いてきました。私自身も、とても共感できるものがあります。

「今日は、楽しかったな~」という気分の時には、やはり、イライラする気持ちは小さくなりますよね。いつもなら、イラッときてしまうこともそう感じなかったり、伝える言葉もやわらかくなったりしませんか。

「からだがしんどいな・・・」と感じている時には、いつも出来ていることも、つらく感じて、その上に気持ちも落ちてきやすいものですよね。

そこを整えることで、変わってくることがたくさんあるということを、先日も実感しました。

「ちょっとからだを動かして、今日はすっきりしたな~!と思っていた日、帰宅した夫にも自然とやさしい言葉がかけられました。

『せっかくお友達に誘われたんだから、今度の休みはゴルフに行ってきたら?』とすんなり言えて・・・。

そのゴルフの後、夫もとてもすっきりしたらしくて、今度は夫からも、育児の日々を理解してくれる共感の言葉や、今まで以上の協力が返ってきたんです。

このまま距離が離れていってしまうのかな・・・?とさえ思っていた時期もありましたが、自分が変わるように心掛けてみるようにしてから、関係性が良くなりました」

と、これは実際のママのからの体験談です。

パートナーに何かを伝える時、わかってほしい時、やはり“言葉選び”もとても大切なのではないでしょうか。

「もっと手伝ってよ」

「みんなどこのお父さんだってやってるよ」

「二人の子どもなんだから、二人で育てるのが当然じゃない!」

確かにその通りです!

ただ、この言葉のままぶつけ続けても、伝わらないかもしれませんね。

(もちろん、自分の気持ちをぶつけることは大切です。我慢しなくてはいけないというわけではありません)

どんな言葉で伝えたら伝わるかな?と考えられる自分になるには、こころとからだに余裕が必要だと思うのです。

そして、大切な話を伝える時には、環境作りも必要。

空腹時は避けましょうね。イライラがヒートアップしてしまいますから・・・。

ちなみにこれは、思春期の子育て期にも共通します。

大切な話は、お腹が満たされている時に。

「自分のこころとからだを整える」

そのための方法は、人それぞれですよね。

お家でこれをする、という方もいらっしゃれば、それがどこかの場所へ出向くこと、という方もいらっしゃると思います。

そしてそんな場所が社会の中でたくさん作られていくよう、今後の産後ケアの広がりにも期待したいですね。

それぞれが、それぞれの方法でご自分のこころとからだを整え、より良いパートナーシップが築けるよう心から願っています。

『父性と母性 イクメンって?』

 2010年に「イクメン」という言葉が流行語大賞のトップ10に入ってから、はや5年。このワードもすっかり浸透してきましたね。

 改正育児・介護休業法の施行を機に、男性の育児参加の社会的気運を高めることを目的として、厚生労働省雇用均等・児童家庭局が「イクメンプロジェクト」を発足したことから、一気にこのワードが広まりました。

 そして最近では、「なぜわざわざイクメンって言うの?父親として、育児をするのは当たり前!」という認識も高まり、「イクメン」について、しばしば議論されていますね。

 確かに、それも一理ありますね。

ただ、この「当たり前」について、「父性と母性」の点から考えてみると、いろいろと思う事があります。

女性は、妊娠すると、自分自身の身体に大きな変化が起きますよね。

まず、月1回来るはずの月経が止まり、身体に変化が。

つわりの程度には個人差がありますが、全く食事が受け付けられなくなったり、食事の好みが変わったり・・・。

そして、おなかの中で、ポコポコと感じる胎動。

これがじきに激しくなり、「ママ~!ここに生きてるよ!元気にしているよ~!」と、赤ちゃんからのサインを直接自分の身体で感じることが出来る。

大きいおなかを抱えて過ごす妊娠期が、自分自身の事として感じられるわけです。

出産で経験する様々な痛みも、自分自身の身体で起きること。

だから、より実感を持ちやすいのだと思うのです。

それでも、「出産後、実感が持てなかった。授乳をしたり、赤ちゃんのお世話をしているうちに、ようやく実感が持てるようになった」という感じるママも多いです。それも自然なことなのではないでしょうか。

そう考えると・・・。 自分自身の身体の中で、何ひとつ変化のない男性にとって、なかなか実感が持てないことは、無理ないのかもしれません。

母性も時間をかけて育つものだと感じますが、父性が育つには、さらに時間がかかるのかもしれないですね。

もちろん、「夫の方が、妊婦健診を楽しみにしているくらいです」という方や、 「育児も家事も自然にやってくれています」という方もたくさんいらっしゃいますが、

妊娠中の女性から、産後の女性から、 「父親の自覚がない」という嘆きの言葉をたくさん聞いてきました。 でも、「だんだん変わってきました!」という嬉しいご報告もたくさんいただきました。

「父性が育つには時間がかかるもの」と理解して、 「夫育て」も楽しんでみませんか?

そして、夫婦の絆、家族の絆が深まっていきますように・・・。

『HUG(ハグ)のチカラ』

 先日、あるショッピングセンターで見かけた風景。 「ママ抱っこぉ~!!」と、泣いている女の子。 ママが女の子を抱っこした瞬間の、その女の子の嬉しそうな安心した表情。 もちろん、ピタッと泣きやんでいました。

抱っこのパワーって、スゴイ! そんなシーンにちょくちょく出逢います。

 人は、肌と肌のふれあいが、とても大切といわれていますね。 『幸せになる脳はだっこで育つ』の著者の山口 創先生も、数々の著書の中でスキンシップの大切さについて述べられています。 ふれあうこと、抱きしめることで、愛情ホルモン「オキシトシン」や、幸せホルモン「セロトニン」が分泌される神秘。

 親と子の絆は、抱きしめられて、見つめられて、築かれていくもの。 このHUG(ハグ)で満たされた日々が心の根っことなり、 「自分は大切な存在なんだ」 という自己肯定感をはぐくむといわれています。 

赤ちゃんはもちろん、いくつになっても抱きしめるって大切ですね。 そして、抱きしめることで心が癒されるのは、実は抱きしめている側かも・・・なんて、思ったりします。

私自身、末っ子が小さかった頃、仕事が終わって子どもを保育所に迎えに行き、子どもを抱きしめた瞬間、忙しかった一日のいろいろが、一瞬にして癒されていくのを感じたものでした。

 すでに成人した子どもたちが思春期の頃、関わりが少し難しくなってきたなぁと感じ、悩んだことも多々ありましたが、足のマッサージでふれあいの時間は、私自身を癒してくれ、子どもとの距離が近く感じることができる時間でした。 もちろん、「いいって!」と拒否されることもしばしばありましたが・・・笑。 それでも、嫌がりながらもどこか嬉しそうだったなぁ・・・なんて、成人した子どもたちとの日々を懐かしく感じたりしています。

 子どもたちが大きくなって、肌と肌でふれあうことができなくなりました。 子どもの挫折を目の当たりにした時、 「小さい頃は、ただただ抱きしめ励ますことで解決できたのに、今の私には、もう何もしてあげられないんだな」と、胸が苦しくなったりしましたが、 「言葉でHUG(ハグ)することができる」 今はそう思い、伝えたい想いは言葉で伝え、そして子どもたちを見守る日々です。

HUG(ハグ)にもいろいろなカタチがある。 そう感じています。

 そして、夫婦もHUG(ハグ)がとっても大切。 抱きしめあうことも、言葉でのHUG(ハグ)も。

夫婦も、親子も・・・ HUG(ハグ)してHUG(ハグ)されて、安心できる場所作りを。 「HUG(ハグ)のチカラ」を信じて、 たくさんたくさん抱きしめあっていきたいですね。


『子どもたちの輝く瞳』

 このコラムを担当させていただいてから、はや半年が過ぎました。

つたないコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

今日は、『誕生学®』を聴いてくれた親子さんのエピソードをお届けしたいと思います。

そもそも・・・このコラムを読んでいただいて、

「誕生学®って何??」

と思っていただいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

笑い話になりますが・・・

「占いですか?」

と聞かれたこともあります。

それも、一度や二度ではなく、複数回・・・。

そこで、改めて誕生学®について、紹介させてください。

このコラムの第1回でも紹介させていただきましたが、

『誕生学®』とは・・・

未就学児、小学生、中学生、高校生、大学生及び成人への、それぞれの年齢を対象に、「妊娠出産といのちの大切さに関する知識の教授」とされているプログラムです。

解剖学や避妊教育中心の性教育ではなく、自分の生命力や誕生してきた奇跡を再確認し、自尊感情を高めることを目的にしています。

みなさんは、お子さんからこんな質問をされた時、どう答えますか?

「赤ちゃんって、どうやってうまれるの?」

5歳の子どもの80%がこう質問するともいわれています。

きちんと答えられるか、自信がないという方も多いのではないでしょうか。無理はありませんよね。

「このことを正しく教えてもらう機会があった」という保護者の方は、少ないのではないかと思います。

そう、保護者の方自身が知る機会さえなかったことを、どんな言葉で伝えたらよいのか悩むのは当然です。

学校へ伺うスクールプログラムと違って、誕生学サロンとして開催している講座にご参加いただく方の中で、

「どう説明したらよいのかわからず悩んでいて、この講座に参加しました」

とお話しされる方がとても多いです。

そんな中で、『幼児と低学年のための誕生学®』を開催した時のこと。

男の子。元気いっぱいです。

じっとお話を聴いてくれる子もいれば、うろうろと歩き出す子もいます。

講座の帰り際の、お母さんからの言葉。

「全然集中してないし、うろうろするし・・・。まだ早かったんでしょうか、この話」

そうお話しされていました。

そして、それからしばらく経ったある日のこと。

「テレビで出産シーンがあって、何気なくそれをみていたら、突然あの日の誕生学®での内容を話し始めたんです。あの日、ちゃんときいていたんですね。びっくりです。しかも、ちゃんと覚えていたのでさらにびっくりです」

というメールが・・・。

子どもって、本当にスゴイです。

うろうろしてたって、集中してないように見えたって、ちゃんとちゃんと大切なことには心を傾けてくれているのです。

誕生学®スクールプログラムでも、同様です。

子どもたちは、ちゃんとちゃんと、受け止めてくれる大きな器を持っているのです。

“いのちのはなし”を伝える時、私は正面から子どもたちの輝く瞳、まっすぐなまなざしを、まぶしく感じます。

「どんな力を使って、おなかの中で成長してきたのか」

「どんな力を使って、どうやってうまれてきたのか」

子どもたちは知りたいのだと思います。

「生まれてきたことが嬉しくなると、未来が楽しくなる」

そして、自分のいのちってスゴイ!と、自分自身を大切にする気持ちも育ちやすくなるのではないでしょうか。

子どもたちの輝く瞳が、いつまでも希望で満ち溢れるよう、

これからもこのプログラムを届けていきたいと思います。

『うまれてきた意味、今を生きている意味』

慌ただしく過ぎていく毎日の中で、

ふと、立ちどまり考えることがあります。

 人って、それぞれにうまれてきたことに何かしら意味がある。

そして、

今を生きていること、正確にいえば、

今こうして生かされていることには何かしら意味があるのではないかということを。

 そう感じる理由は、出逢った方たちからそれを教えてもらったからです。

 毎日毎日出逢う、

赤ちゃんたち、子どもたち、妊婦さんたち、お母さんたち・・・。

当たり前のことですが、

ひとりひとりお顔が違うように、ひとりひとりがその人そのもの。

 大好きな言葉があります。

 大正末期から昭和初期にかけて活躍した詩人、

金子みすゞさんの詩の一部にある

 「みんなちがってみんないい」という言葉。

 ノートルダム清心学園の理事長、

渡辺和子さんの著書にある

 「置かれた場所で咲きなさい」という言葉。

 誰かと比べることなんて必要なくて、ひとりひとりが宝物で、

うまれてきたことに、それぞれ意味があり、

今を生きていることにも、それぞれのお役目があるのですね。

先日、友人の描いた絵を鑑賞させてもらいました。

(掲載の承諾をいただいたので、掲載させていただきます!)

私は、小さい頃から絵が苦手。だから本当に尊敬の念です。

喫茶店のギャラリーでの展示だったのですが、

この絵を目にして、心がほんわかとあったか~くなったお客さんがきっといるはず。

彼女が趣味で描いている絵で、誰かの心が温まる。

素敵なお役目だなぁと思うのです。

 そして、ある友人はパン作りが上手。

お仕事ではありません。趣味でパンを焼いています。

何度かごちそうになりましたが、本当にプロ並みのおいしさで心も癒されます。

不器用な私には、こんなに上手に作れません。だから本当に尊敬の念です。

彼女が趣味で焼くパンで、誰かの心が癒される。

素敵なお役目だなぁと思うのです。

デザートも手作り。

愛する子どもたちのために、せっせと頑張るその姿。

愛がいっぱいです。

そんな母の愛が、子どもたちに、きっと届いているはず。

 あるお母さんが、こうおっしゃっていました。

「私には、何もないんです。ただ毎日子育てをしているだけ・・・」と。

いのちをうみ、そのいのちを育てる。

そしてそのいのちが、またいのちを繋いでいくかもしれない。

「子育て」っていのちのバトンを繋ぐこと。

それだけでも、素敵なお役目だなぁと思うのです。

 以前、あるスポーツ教室のクラスを担当させていただいた時、

出逢った70代の方がこんなお話をしてくださいました。

 「60歳を過ぎてから、

やっと自分がやりたいことや自分のやるべきことを見つけたの。

人生はいのちが消えるその時まで、勉強なのよね」と。

 何のためにうまれてきたのか、

何のために生きているのか、

自分に出来ることは何なのか。

 それを探し続けることが、生きるということなのかもしれませんね。

すごいチカラを使っておなかの中で成長し、

すごいチカラを使ってうまれてきたわたしたち。

 うまれてきたいのち、うまれることが出来なかったいのち。

今を生きるいのち、消えてしまったいのち。

どんないのちも、

すべてのいのちには、意味がある。

 だから今日も、空を見上げて頑張ろうと思います。

『私という存在は奇跡』

中学生&保護者の方からの感想と、PTA役員さんからのあたたかいお手紙         先日、いのちの大切さを伝える「誕生学®」をお届けした後、

中学生からこんな感想をいただきました。

 「母ががんばってくれたのはもちろんのこと、

自分でも頑張ってうまれてきたんだということを知り、

この“いのち”を大切にしていかなければならないと強く思いました」

 「今日の話をきいて、出産とはこわいものではなく、

とても幸せなものだということを知りました。

なんで女の人だけが痛い思いをしなきゃいけないの?と思っていましたが、

子宮という大切な宝物を授かったからには、自分自身を大切にしたいし、

いつか私もお母さんになりたいな、と思いました」

 「私なんて何十億分のたった一人と思っていた自分にはもうさよならです。

私という存在は奇跡であり、

いろんな人と両親と自分で誕生させた大切な存在なんだと思いました。

それは自分だけでなく、みんなも同じで、みんなも私と同じく奇跡で、

そう思うと今まで苦手だと思っていた子とも、

中学生は、カラダの成長とこころの成長がアンバランスな、多感で葛藤の時期。

親子でもぶつかり合う時期ではないかな、と思います。

 だからこそ、自分という存在の大切さを実感しながら、

自分を大切にしてほしい・・・。

そんな想いでいっぱいです。

 厚生労働省 衛生行政報告例によると、

2013年の10代での出産は19359件。そのうち318件が14歳以下です。

そして、10代での人工妊娠中絶は12964件。そのうち51件が14歳以下です。

 先月も、14歳の女子が自宅のトイレで出産した赤ちゃんをビニール袋に入れて捨ててしまうという出来事が報道されました。

幸い、赤ちゃんのいのちは無事でした。

このようなことが報道されるたび、聞こえてくるのは、当事者を責める声。

もちろん、許される行為ではないのは確かだと思います。

 でも・・・

 どうして、まわりの誰も気付いてあげられなかったんだろう。

 どうして、お母さんに相談できなかったんだろう。

 どうして、男性に身をゆだねたくなる心境だったんだろう。

 さみしかっただろうな。

 つらかっただろうな。

 そしてこの子のお母さん自身も、

妊娠期・出産期・育児期に、

ちゃんといろいろなサポートを受けられていたのかな。

 いろいろなことを考えます。

なんだかうまくやっていけそうな気がします」

大切な時期に、大切なことをしっかり伝えること。

これが本当に大事なのではないでしょうか。

 産婦人科の先生、助産師さん、養護教諭の先生、保健体育の先生、

そして、私たちのようにいのちの話を届けるさまざまな団体。

いろいろなアプローチで、

子どもたちにいのちの大切さ、自分の存在の大切さを伝えていくこと。

 「未来のいのちをまもる、大人としての責任」をひしひしと感じる今日この頃です。

飯島 愛 ちん Benz Royce

頬を紅く初めて 幼心 そっと抱きしめて❣ よちよちぶらぶらチ~ン

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